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おーぷん2ちゃんねる百物語

おーぷん2ちゃんねる百物語2015 本スレ

第51話『砂の人』 宵待草@代理投稿◆zGmkUMDv/mqt
まだ、私が、高校生の頃の夏の話だ。
鹿児島の本駅(今では、新幹線の駅)の裏側5~6分の所のマンションに母と2人で住んでいた。
その当時あまりクーラーが得意でなく、寝るときだけ窓を開け放した部屋に布団を、2つ並べて敷き、母と並んで寝ていた。

ある夜 ふと目が覚めると突然、突風がふきカーテンが、揺れた瞬間、体の上にズシンと何かが乗ってきた感触、
その後、砂が積もるように人の形が出来上がっていった。テレビの砂嵐模様の人だ。体は金縛りにあい、動かない。
すごい力で首を絞めてくる。何か凄い悪意と殺意とを感じた。
私ができることは少し首を動かすことと唸ることぐらい。どれぐらい時間が経ったのか、隣から母の声。
「大丈夫?どうした?」。すると突然、体の上の砂嵐模様の人型のものが風に吹かれた砂のように消えた。
どうもその母の声で消えたらしい。
私は、やっと自由になり身体を、起し「ゴホッ ゴホッ」と咳をし、母に今、あった事を、そのまま話した。

母も何か異様な雰囲気を感じて起きたらしい。その夜は、窓を閉め、クーラーをかけ寝ることになったが、
金縛りにあい、幽霊らしきものを、見たことも数回あったが、あまりに先ほどの体験が強烈で朝まで一睡もできなかった。
それ以降、窓を開け寝ることはなく、得意ではないクーラーをかけ寝ることになった。
第52話『墓場の霊』 ずんちゃ虫◆OAARk8yC9E
小学校の頃、母の実家で葬式があって家族で出かけた
母実家につくと従兄ら(母の兄の息子ら)は自分らの爺さんが死んだのに妙なハイテンションで
仲がよかった自分も一緒にはしゃいでいたのだが、やがてその原因が判明した。
実は葬式を行う林幽寺という寺の墓地に、幽霊が出る噂があり、小学生だった従兄らはもちろん、
大人まで本気で噂していたのだった。
従兄らは好奇心から夜に寺へ行ってみたいと思ってたけど親が許さず、それがこんな形で
実現したので、いよいよ夜に寺に行けるぞ と喜んでいたのだ。

葬式の読経が終わると、従兄らと自分の3人は早々に寺の脇の墓地へ
噂によれば、幽霊は夕暮れ時に墓石の前に現れるらしい
手を前にだらりとたらした痩せ細った姿でゆらゆらと立っているのだが人が近付くと
消えてしまうらしい


3人は墓地を見回ったが、もう空がすっかり暗くなった8時ごろになって、ついにそれは現れた
暗い中に生白く浮かぶ細い影、墓地の一番奥の墓石の前でゆらゆらと揺れている
3人は緊張してこっそりと近づいた、相手は逃げない
15メートルほどの距離まで来てこれ以上進もうかどうしようかと迷い始める
もう少し行こう、と3人がうなずき合ったその時、影はすっと消えてしまった
3人は顔を見合わせ、いま見たものを確認し合って引き揚げようとした

すると、戻る方向の10メートルほど先の墓石にまたも細くやつれた白い影
手をだらりとたらし、うつむき加減で ゆらゆらとうごめく、背丈からして小柄な女性のよう
焦った3人は、どうしていいのかわからず慌てていると またすっと影は消えた
その後、3人とも半泣きになって本堂まで逃げ込んだ
実話で落ちも何もない、その時の2ヶ所の墓は、どちらも最近葬式のあった家の墓だそうです。
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第53話『おまじない』 葛◆5fF4aBHyEs
仕事を終えて会社を出ると、大手企業に転職し、東京に引っ越したハズの元同僚、カイト(仮名)が立っていた
カイトは同期ということもあって、よく愚痴を語り合ったりしていたのだが、その時のカイトはやつれて弱々しい笑みを浮かべていた
とにもかくにも、居酒屋に入って話を聞いてみる


東京に引っ越すことが決まったカイトは、なるべく家賃の安い物件を探しているうち、その事故物件に行き当たったそうだ
不動産屋からきちんと事故物件である旨の説明を受けたが、『霊なんているわけない』と思っていたカイトは、『むしろ安くてラッキー』とばかりに、早々に契約したのだという

「……初めに違和感を覚えたのは、荷物を運び込もうとした時だったんだ」
「部屋に入った瞬間、全身が総毛立って。貧血起こしたみたいに頭からスゥッと血の気が引いて。カチカチ奥歯が鳴って」
「その瞬間、自分でも知らないうちに、呟いてたんだ。……『タダイマ』って……なんかまるで、自分の身体が自分のものじゃないみたいだった」

それから後は、部屋に居ると妙な出来事ばかりが起こったそうだ
部屋の何処に居ても、何をしていても視線を感じる。置いたハズの無い場所に家具や食器が移動している。何度変えても電気がチラつく
そのうちカイトは、特に視線を感じる場所に気が付いた
ベッドに座っている時が、一番視線が強い
ちょうどベッドの向かいに、押し入れがある
カイトは意を決して、押し入れをほんの少しだけ開けて、中を覗き込もうとし

目が、合った

押し入れの中で、ギラギラとこちらを見ている女の視線に気が付いて、カイトは悲鳴を上げた


気を失いそうになるが、何とか耐えて、カイトは部屋を飛び出した

「何日かはホテルで過ごしながら、不動産屋に別の部屋を探してもらって。……でも、そうしているうちに、段々、『何でオレがこんな目に』と思ったらイライラしてきて」
「押し入れに居るってんなら、押し入れに何かあるんじゃないかと思って」

夜行くのは怖いから、と日曜日になるのを待って、昼間に部屋を訪れた
押し入れを開けてみるが、何もない
でも絶対何かあるに違いない、とカイトは天袋を覗いてみたのだそうだ
天袋の天井を触ると、案の定板が動く
慎重に板を持ち上げ、用意してあった懐中電灯を差し込む

暗闇の中、懐中電灯の明かりに照らされた先に、女が体育座りをしていた

「『うわっ』と声を上げた次の瞬間には、女の姿はなくなってた」
カイトはそれを見間違いだと思うことにして、天井裏を探してみたのだそうだが、ざっと四方を照らしてみても何も見当たらない
「でもさ、押し上げた天井の板がやけに重いなと思って。照らしてみたら、あったよ」
透明なガムテープで固定されたそれは、透明なゴミ袋に包まれた5冊のノートだった
「袋は埃まみれだったけど、中はそうでもなかった。ノートはディズニーとか、キティちゃんとかの可愛いやつで」
勇気を出してノートを開いた瞬間、カイトは悲鳴を上げたそうだ
中には赤いボールペンで、余白が無いほどびっしりと、こう書かれていたらしい

『カイトが帰って来ますように』『カイトが帰って来ますように』『カイトが帰って来ますように』………

「でもさ、本当にビビッたのは、その後なんだよ……」
カイトは泣きそうに、顔をくしゃりと歪めた
「思わずノートを放り投げたら、表紙に『カイト かえってきてくれて ありがとう』って書いてあったんだよ……ボールペンじゃなくて血みたいな字で……さっきまでそんなの無かったのに!」

頭を抱えてうなだれるカイトが落ち着くのを待ってから、
「……でもさ、もうその部屋からは引っ越したんでしょ?」
こちらの言葉に、カイトは弱々しい笑みを浮かべて首を横に振った
「俺もそう思ったんだ……でも……」
カイトが新しい部屋に荷物を運び込んだ瞬間、声がしたのだという

『お 帰 り な さ い』……
第54話『靴』 葛◆5fF4aBHyEs
上司が家を建てたというので、手土産を持って挨拶に行った
自分の家からはそう遠くない小綺麗な新興住宅地は、未だ分譲中や造成中の物件が多く、あちこちに不動産屋ののぼりがはためいていた。
上司の家を訪れると、「上がっていけ」と勧められる
「君がこの近くに住んでいるとはなあ」
これで酔っぱらった時も送ってもらえるから安心だな。そう言って豪快に笑う上司を、奥さんが軽くたしなめる
豪快な上司とは真反対の儚げな奥さんは、すごく美人だった
二人、息子がいるそうだが、既に大学生と社会人で、どちらも家にはいないそうだ
世間話をしてお茶をいただいた帰り際、玄関で靴を履いていると、靴箱の上に飾られた一足の靴が目に止まった
子供用の小さな靴だ。黒いエナメル質に、イミテーションの宝石がふんだんに散りばめられたピンクのリボン。リボンの真ん中には大きめのガラス玉
「可愛い靴ですね」
ピアノの発表会にでも履いていったら良さそうだ
多分、自分がこんな靴を持っていたら、つんと澄まして大人ぶっていただろうな、と想像が浮かぶ
だが、上司と奥さんはどこか哀しげな笑みを浮かべ、
「……娘の、形見なんです」
悪いことを聞いてしまった。こちらも気まずげに、
「す、すみません」
と言って頭を下げる
……その時、なんでそんな言葉が口をついたのか。今思い出しても解らない
顔を上げた自分は、
「でも、こんなところに置いてたら、盗られちゃいますよ?」
と口走っていた
上司と奥さんは怒ることもなく、「そうですね。気をつけます」と返してくれて、二人に見送られてその家を辞したのだが

青い顔で出勤してきた上司に呼び止められたのは、上司の家を訪れてちょうど1ヶ月が過ぎた頃だった
あの靴が、なくなったのだと言う
……変なことを言ってしまったから疑われてるのかな?
そう思ったが、先読みされたようだ
「僕も妻も、君を疑ってはいない。ただ、警察にも通報してあるけれど、君も何か見たり、噂を聞いたりしたら教えてほしい」
昔住んでいたアパートが火事にあい、娘さんの形見で残っているのはあの靴だけなのだと
そのために、何かあったらすぐ持ち出せるように。でも靴箱の中だと暗くて可哀相だからと、玄関に置いていたのだと上司は教えてくれた

それからしばらくして、スーパーに買い物に出掛けた時に、奥さんとばったり出会った
まだ靴は見つかっていないのだろう。やつれて『儚げ』だった印象は、『今にも消え入りそう』な印象に変わっている
買い物カゴを手に立ち話をしていると、突然「ママ!!」と声が響いた
驚いてそちらを見ると、近所に住むA美と、その娘が立っていた
A美の娘は、奥さんに泣きながら駆け寄った
「ママ助けて!知らないオバチャンに連れて行かれたの!ママのとこに帰りたい!」
すがりついてくるA美の娘に奥さんは戸惑い、自分を含めた他の買い物客は困惑した
その子が『知らないオバチャン』と呼んだ相手は、間違いなくその子の母親であるA美だったからだ

「ママのとこに帰りたいって言ったらあのオバチャン怒るから、黙ってたの!でも、ママがいい!ママのとこがいい!」
わんわん泣く子供と、戸惑いながらもあやすように子供の背中を撫でてやる奥さんと、顔を真っ赤にしたA美と
三人が店員さんに連れられて奥に消えるまで、自分を含めた他のお客さんは呆然と事態を見守るだけで、身動き一つ出来なかった

結論から言うと、靴を盗ったのはA美だったらしい
警察が来たりして色々あったようだが、そこは知らない
A美は、上司宅からだけでなく近所から色々盗っていた(本人曰く、「借りただけ」だそうだが)ため、実刑となったそうだ
靴が奥さんの元に返ると、A美の娘は落ち着いたらしい。奥さんのことを「ママ」と呼んだ時の記憶は残っていないそうだ
奥さんは、「これも縁だから」とちょいちょいA美の娘を世話しているらしい
今もあの靴は、上司宅の玄関に飾られている

第55話『出られないよ』 雷鳥一号◆jgxp0RiZOM
知り合いの話。

ある夜、彼女がそろそろ寝ようかと考えていると、携帯電話が鳴った。
すぐ近所に住んでいる友人からだ。
「トイレから出られなくなった、助けて!」という内容だった。

詳しい事情を聞くと、次のようなことを言う。
「トイレに入っていると、ドアがいきなりガタッと音を立てたの。
 驚いて開けようとしたんだけど、何かに押さえられているかのように
 どうやっても開かなくなってるの!」

「何とか開けようと悪戦苦闘していたんだけど、その時聞こえたの。
 『出られないよ』って笑う声が! もう恐くてドアに近寄れない。
 お願いだよー、助けに来て!」

取りあえず「落ち着け」と伝え、友人宅へ向かうことにした。
女一人では流石に不安なので、隣部屋に住んでいる男の後輩を叩き起こし、
一緒に行って貰うことにする。
到着すると、勝手知ったる鍵の隠し場所を探ってみた。
鍵はちゃんといつもの隠し場所にある。
誰かがこれを使って侵入した訳ではなさそうだ。

後輩と共に上がり込むと、トイレの方から啜り泣く声が聞こえた。
慌てて駆け寄ると、トイレのドアに色々な物がつっかえており、
中からはまったく開かないようになっていた。

二人で障害物を取り除くと、中から青い顔の友人が転がり出てくる。
「ありがとう! 本当に恐かったよー!」
泣きじゃくる友人を宥めながら、注意をする。
「トイレの前にこんなに物置いちゃ駄目だよ」と。
友人はキョトンとした顔になり、答えた。
「こんなに沢山の物、廊下に出しっ放しになんかしてないよー」

そこで、それまで黙っていた後輩が口を挟んできた。
「これって明らかに、つっかえ棒になるように誰かが置いてますよ。
 全部が全部、あんなにきれいに並ぶ訳がない。
 ちゃんと同じ長さの物を揃えてあるみたいだし」

後輩の言っていることが理解できると、二人は真っ青になった。

「やっぱり誰かが屋内に入り込んで、悪さしたんじゃないですかね。
 先輩、鍵を外に隠すのは止めた方が良いですよ、絶対」
真面目な顔でそう忠告してくれた。

「先輩も一応、女性なんですから」
一言多い後輩だった。

それからすぐに、友人は引っ越した。
屋外に鍵を隠すことも止めた。
その甲斐あってか、あれから恐い思いはしていないらしい。
しかし「今でも時々思い出して気持ち悪くなるよー」と言っているそうだ。
第56話『カルタ』 葛◆5fF4aBHyEs
祖母がまだ小さかった頃の話だ
遊び道具なんてまだほとんど無かった時代、祖母は友人のMちゃん、Yちゃんと一緒にいろはカルタを手作りしたらしい
三人で読み札と取り札を作り、さあ遊んでみよう、となったそうだ
最初の一回は祖母が読むことになり、MちゃんとYちゃんが札を取ることになった

「い ぬも歩けば棒に当たる」
「はいっ」
「そ ですり合うも他生の縁」
「はいっ」「あ、取られた!」「あはははっ」

他愛も無いやり取りをしながら、あっという間に読み札は全部読み終わってしまった……のだが、何故か一枚取り札が残っている
「あれ?これ何だっけ」
Mちゃんが取り札を手に取るのにつられて、祖母とYちゃんも覗き込む

そこには○囲いされた ん の文字と、吊された骸骨の絵が描かれていた
首に縄をかけて吊された骸骨は、そう、まるで首吊りをしているようだった

「何これ、気持ち悪い」
「誰が描いたの?」
「私じゃないよ」「私でもない」「でも、私も描いてないよ、こんなの」

口々にそう言って否定し、三人で顔を見合わせる
やがてMちゃんが肩を竦め、「まあいっか」と札を屑籠に入れる

……Mちゃんが亡くなったのは、それから3日後
物置小屋で遊んでいて、紐が絡まったまま天井の梁から落ちたそうだ

その話を聞いた祖母は屑籠を覗いてみたが、あの取り札はどこにも見当たらなかったらしい
第57話『約束』 葛◆5fF4aBHyEs
高校の頃はバスで通学していたのだが、一度だけ乗り過ごしたことがある
それもよりによって、用事があって遅くなり、最終バスに乗った日に限って

目を覚ましたのは、橋の袂だった
○○橋口、というバス停で慌てて飛び降りる
今思えばいっそ駅まで乗っていけば良かったのだが、その時はそこまで頭が回らなかった
民家はそれなりに立ち並んでいるが、コンビニなどは見当たらない
遅くなることは事前に伝えてあったのでそれを叱られることは無いのだけれど、帰る手段が無い
夜9時過ぎの住宅街は、さざ波のような静けさに包まれていた

時折微かに犬の遠吠えが聞こえてくる
親が『高校を卒業するまで携帯禁止』という方針なので、携帯は持っていない
公衆電話を探すと……あった。橋の目の前にシャッターの降りたタバコ屋があり、そこの角にひっそりと緑色の公衆電話が佇んでいた
親に電話を掛けて、乗り過ごしたことを伝える。
○○橋口のバス停に居ることを告げると、『20分くらいかかるよ』とのこと
電話を切って、バス停に戻る
人気はないが民家は多いので、あまり怖いとは思わなかった

しばらくそのまま堤防に寄りかかってぼんやり親を待っていると、
「あら!やっと来てくれたのね!」
嬉しそうな声が響いて右手側を見ると、女の人が立っていた


……10月の終わりなので肌寒いことは肌寒いのだけれど、ファー付きのコートを着るには早いような気がする
ファーのついた真っ白いコートは見るからに高そうだ
コートの下から少しだけスカートが見え隠れしているが、かなり短い。癖の強い金髪、派手めの化粧、ラメで飾られた爪、手にした赤いバッグは間違いなく皮製品だ
(……誰に話しかけてるんだろう?)
キョロキョロと辺りを見回す自分の腕を、彼女がいきなり掴んだ
まさかそんな行動に出られるとは思っていなかった
咄嗟に動けずに居る自分に、まるで腕を組むように腕を絡め、彼女が歩き出す
「ちょ、ちょっと!!何するんですか!」
ことここに来て恐怖心が理性を上回り、大声を上げる
……が、辺りの民家はしんと静まり返ったまま、物音一つ聞こえなかった
「離してください!誰か、助けて!」
女性なのにすごい力だ。振りほどくどころか、腕を圧迫されて手が痺れる
甘ったるい香水に混じって、なんだか変な臭いが鼻につく。泥水と生ゴミが混じったような、ドブの臭い
「早く早くっ。早くいこう?もー、来てくれないかと思ったわ♪待ちくたびれちゃった」
彼女は笑顔でそう言いながら、グイグイ自分を引っ張っていく
連れて行かれたのは橋の中央
そこで彼女は、こちらの身体を欄干に押し付け始めた

民家からは誰も出て来ない。交通量はそこそこある道なのに、それほど遅い時間でも無いのに車一台通らない
自分の悲鳴は虚しく夜の闇に吸い込まれていく
欄干は自分の胸くらいの高さしかない。彼女に押し付けられて、首から上が欄干から身を乗り出す
彼女の強い力で頭を押され、足が浮き始める
バタバタと暴れる自分と対照的に、にこにこと彼女は笑っている
「ひどいよね。あたし、彼が言うから貯金だって全部あげたし、子供だって堕ろしたのに。……ねぇ」

『一 緒 に 死 ん で く れ る っ て 約 束 し た よ ね ……』

その声に、ゾワッと全身が総毛立った
あの生臭い臭いに噎せ返りそうになる
彼女の声が一変した次の瞬間、

「……こんなとこで何してんの?」
迎えに来た親の声が響いて、自分は我に返った
気付けば自分は橋の中央で一人、呆然と立っていた
彼女の姿は無い
まるで、幻のように彼女は消えていた
他に車が来ていないとはいえ、橋の真ん中で立ち話をするわけにもいかない
フラフラと親の車に乗り込み、一部始終を話す
「……夢だったのかな」
そう呟く自分に、「襟、見てみ」と親が指摘する
言われて制服の襟を見ると、彼女の爪を飾っていた銀色の星が襟に付着していた
第58話『人影』 林檎小娘◆vCMeD/yt12
これは私が家族と旅行に出かけたときでした。

温泉に入って旅館に戻るときに、廊下を渡る浴衣を着た男性の人影が見えたのです。男性は、男湯と書かれた暖簾から出てきました。

ですが、お父さんの話に寄ると、「温泉は丁度貸切状態だった」らしいんです。

だから私、不思議に思ってお父さんに訊ねてみました。

「お父さん、あそこに人おるよ」と。

だけど指差したところには誰も居なく、見間違いかと思いフロント?のところに着いたときでしょうか。お父さんがフロントの人に聞くことがあったようで、そちらの方に向かっていったんです。

そのとき、二歳離れた弟が「あの人お父さんの知り合い?」といいました。弟の目線の先を見てみると、そこには私がさきほど見かけた男性でした。

男性はお父さんの横で同じスピードで歩いていたので、弟と二人で「あとで聞いてみよう」と話し合っていました。

お父さんが「ごめんごめん。さ、行こうか」とこちらに来て一緒に部屋まで行ったときには男性の姿はありませんでした。

部屋に入って早々、弟がお父さんにあのことを聞きました。

「さっきお父さんの隣を歩いていた人、知り合い?」
「一緒に温泉入るくらい仲いいんだよね」
と、二人でお父さんに言うとお父さんは首をかしげてこう言うのです。「お父さんと一緒に居た人はいない。温泉でのことは弟、お前が知ってるだろ」と。

「浴衣着た20くらいの人だよ?本当に見覚えないの??」と私が問い詰めると、お父さんはますます眉をひそめて「俺以外にあの場には居なかったよ」と。

これは今でも謎です。弟はもう忘れてしまっているのか話を出しても微妙な反応ばかりで…。

もしかしたら、(見た目だけ)若く見られるお父さんとはなにか通じるところがあったのかも……?なんて。

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